
2009年春、完成予定の新校舎イメージ
時代の要請に応えるプロフェッショナルな社会人の育成を理念に掲げ、情報科学に関する各種教育の充実に着目してきた日本大学商学部(情報科学センター)。同学部では、学生が授業の中で身につけたITスキルの習熟度・理解度を可視化するため、2000年にMicrosoft Office Specialistを導入しました。情報科学研究所 所長の櫻井徹さんにお話をうかがいました。
Microsoft Office Specialistの講座を導入した経緯を教えてください。
情報科学センターでは、正規授業とは別に、資格取得を目的としたコンピュータ関連の講座を開設しています。正規授業では、個別のアプリケーションソフトに関するトレーニングを集中的に行うことが難しく、また、学生が自分のスキルレベルを確かめる手段もありません。そこで、理解度や習熟度を確認するためのツールとして、さらにはスキルアップを図る手段としてMicrosoft Office Specialistの資格取得を目的とした講座を開設することにしました。当初は、正規の授業期間(前期・後期)のみの実施でしたが、3年前から夏期講座も設置しています。
これまでにどのくらいの学生が受講しましたか?
導入から8年が経過した現在、これまで1,000人以上の商学部の学生が同講座を受講しました。講座の人気は非常に高く、受講生の募集には定員を大幅に超える応募があります。情報科学センターでは、受講生にMicrosoft Office Specialistの資格取得を特に義務づけてはいませんが、最近では受験率は9割を超えています。この受験率の高さは、やはり就職活動を念頭に置いているからでしょう。
資格取得のメリットは、身につけたパソコンの技能を“資格”という客観的なかたちで表せること。就活等で自分のスキルをアピールするためにも、履歴書に資格所有の旨を記載したいと考える学生が多いようです。情報科学センターでは、まもなく社会に出ていく在校生はもとより、これから大学に入ってくる次の世代が社会人になったときに身につけておきたいスキルを身につけるためのツールとして資格取得を位置づけています。
各アプリケーションのなかで、学生からのニーズが最も高いのは?
Excelです。Wordについては、大半の学生が正規授業やゼミなどで日常的に使っており、自然と使い方を習得していますが、Excelの場合は事情が異なります。文系学部のため、そもそもExcelを使う機会が少なく、グラフや関数に抵抗感を覚える学生も多いようです。とはいえ、Excelのスキルは社会人にとって不可欠ですし、そうした意味でExcelのスキル向上の重要性を十分に理解・認識していますね。一方、PowerPointについては、社会に出てからの具体的な活用状況が実感できていないためか、まだまだ必要性を認識していない学生が多いようです。
現在の課題と今後の予定について教えてください。
目下の課題は、増加の一途をたどるニーズに対応すべく、パソコン台数や教員人数など教育体制を充実させていくこと。さらに、今後は、『2007 Office system』に対応したMicrosoft Certified Application Specialist(MCAS)講座の導入も視野に入れ、現在、具体的にどのようなかたちで実施していくのが望ましいのかを検討しているところです。
※「マイクロソフト認定 アプリケーション スペシャリスト(MCAS)」は、2010年6月より「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」へと名称変更しています。※掲載内容は2007年12月取材時のものです。