資格は、その道の専門家たちが、これだけは知っておいてほしいと考えるところを、カタチにしたものです。オデッセイ コミュニケーションズは、さまざまな分野の専門家たちと協力して、時代が必要とする資格を、皆さんにご提供していきます。新しい資格を取得することで、新しいキャリアを、そして新しい日本を、切り開いていこうとする人たちを、オデッセイ コミュニケーションズは応援しています。
MOS
「大学や専門学校への進学時のアピール」、「社会に出た後に役立つ実践的なスキルの養成」につながる資格としてMOSを導入。
高校野球の甲子園大会の常連出場校として勇名を馳せる仙台育英学園高等学校。同校は、ICT教育の重要性を捉え、20年前の2004年から授業にMOSを取り入れています。
2014年に設立された「情報科学コース」での導入経緯や高校でMOSを取得する意義について、同コースの教務部長 日野 彰先生にお聞きしました。
2004年、本校のIT教育レベルをより一層高い水準に引き上げる「IT教育プロジェクト」が立ち上げられました。その際に、基礎的なパソコン操作技術からプログラミングまで、情報化社会で必要とされるカリキュラムポリシー(学習内容)が制定され、そのプロジェクトを構成する3つの柱のうち最も大きな柱として位置づけられたのがMOSの取得でした。
MOSは、世界的にもメジャーで「社会に出たあとに役立つ実践的なスキルの養成」につながる資格として授業で採用され、併せてコンピューター室の設置や校内の情報通信ネットワークも構築。2006年3月には学内で受験できる体制が整えられました。県下初の全日制普通科総合コース制を導入以降、何度かコース名の変遷はありましたが、現在では「情報科学コース」全学年の生徒がMOS取得のための学校設定科目(グローバルライセンス)を履修しています。
「情報科学コース」は専門的なICT関連の技術・知識を学び、情報社会のエキスパートを目指すコースとして2014年度に設置されました。本コースでは、2017年度から1人1台のタブレットPCをノート代わりに用いた授業を実施。授業に対する集中力の強化に加え、学習意欲、興味関心、発想力・創造性などの基礎力を高め、主体性を伸ばすことを意図して実践しています。ICTの活用によって一方的でない双方向の授業が可能となり、教員と生徒とのコミュニケーションがより密に。学習状況の掌握や適切なタイミングでのフィードバックなど、個々の生徒に適した指導をしています。
全学年とも2単位ずつあるグローバルライセンスの授業(下表参照)はパソコン教室のデスクトップPCを使って行い、MOSの試験もパソコン教室で実施しています。試験は毎年10月と3月は必ず行いますが、学習状況を見極めて生徒の希望に応じて随時設定しているため7月、11月、12月の実施も多いです。取得時期は1年生でExcel、2年生でWordとExcel(上級レベル)、3年生でPowerPointとWord(上級レベル)を取得。全5科目のMOSを取得した3年生のなかにはAccess合格を目指す生徒もいます。
受験対策は授業と自宅学習以外に、放課後を使って学校のパソコン教室で対策講座を実施。さらに、必要な場合は個別指導を行うなどして合格できるようサポートしています。毎年、合格率はほぼ100%で、本コースの生徒は3年間を通じて少なくても3科目(Word/Excel/PowerPoint)のMOSを取得して卒業します。
学年 | 前期 | 後期 |
---|---|---|
1年生 | Excel | Excel Word |
2年生 | Excel(上級レベル) | Excel(上級レベル) Word |
3年生 | PowerPoint | Word(上級レベル) |
「情報科学コース」では、MOSや情報系以外の国語、英語、数学、理科、社会などの授業でもOfficeアプリを多用(下図参照)するため、ひとつには授業に必要なスキルであることが挙げられます。しかし、最も大きな意義はMOS取得によって身につけたスキルを客観的に証明でき、大学や専門学校への進学時のアピールに活用できることです。当コースの生徒は、情報系やさまざまな分野の大学や専門学校への進学の割合が多いです。進学のための書類には資格取得欄があり、面接では「高校時代に頑張ったこと・取り組んだこと」を必ず問われます。面接時、部活やボランティア活動などに加えて、大半の生徒がMOS取得までの努力と達成感を伝えています。
PowerPointでの スライド作成・発表 |
現代の国語(1学年) 科学と人間生活(1学年) 生物(2・3学年) |
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Wordで レポートまとめ や感想文作成 |
英語コミュニケーションⅠ(1学年) 英語コミュニケーションⅡ(2学年) 論理国語(2・3学年) 物理(2・3学年) 化学(2・3学年) |
Excelでグラフ作成 | 物理(2・3学年) |
その後の就職活動でも、世界的に使われているOfficeアプリの利用スキルを証明するMOS取得は役立つでしょうし、それを高校生のうちに取得できることから本コース入学を希望する生徒は年々増えてきています。
「MOS世界学生大会」(※1)への参加は、「情報科学コース」設置以降は教員からもエントリーを促しています。2015年大会の国内入賞者を皮切りに6年連続で入賞者が出て、その後の2023年度大会と2024年度大会ではWord部門の入賞者を2年連続で輩出することができました。当コースから、はじめて「MOS世界学生大会」入賞者が出た2015年頃からMOSを受験する生徒は6~7倍に増えており、この大会は生徒にとっても非常に大きなモチベーションになっていると感じています。自分から「応募したい」と言ってくる生徒も多く、MOS合格と併せてアメリカで行われる決勝戦に出場できる日本代表を目指し、毎年取り組んでいます。
※1| MOSをハイスコアで合格した学生が集まり、Microsoft Officeの利用スキル世界No.1を競うパソコンコンテスト。
(https://mos.odyssey-com.co.jp/competition/)
テクノロジーの進化に伴い情報関連分野の人材ニーズが高まるなか、IT業界で活躍できる人材育成の一端を担う当コースでは、より高度なICTスキルの修得にも力を入れています。例えば、大学や専門学校、企業との連携講座(※2)の充実をはじめ、eスポーツ講座、アプリ作成AI開発プログラミング(Python)やC++言語などの最新技術を取り入れたカリキュラムも導入しています。ただ、こうした特徴的な取り組みの基本にあるのは、グローバルライセンス「MOS」の取得です。資格をとらせたいという保護者の希望から当コースに入学する生徒も多く、eスポーツを学びたくて入学し、その後グローバルライセンスの授業を受けてMOS取得にのめり込んだ生徒もいます。Microsoft 365も、AIの進化とともにますますバージョンアップし変化していくと思いますので、今後はMOS 365の授業・試験開始を検討していきたいと考えています。
※2| 会津大学(コンピュータ理工学部)、東北福祉大学(共生まちづくり学部)、東北芸術工科大学(デザイン工学部)などの教授による講座や大学施設を利用した体験学習や、日本電子専門学校の講師によるAI講習やeスポーツ講座、専門学校デジタルアーツ仙台の講師による3Dゲーム制作の講座などを実施。
※掲載内容は、2024年11月取材時のものです。
仙台育英学園高等学校は、1905年(明治38年)に会津若松出身の加藤 利吉氏が仙台市東四番丁53(現・青葉区中央三丁目)に開いた私塾「英育会」(その後「育英塾」に改組)が発祥。「至誠」「質実剛健」「自治進取」を建学の精神とし、開塾から120年にわたり発展し続けてきた伝統校。高校野球の甲子園大会の常連出場校として、また、その他多くのアスリートを輩出するスポーツ教育での認知度が高いが、グローバル教育としてのIB(国際バカロレア)認定校としての取り組みや、高度情報社会に対応するためのICT教育の充実など、次代を見据えた人材育成の実践により3,000名(※)を超える生徒が在籍する県内有数の私立学校。