資格は、その道の専門家たちが、これだけは知っておいてほしいと考えるところを、カタチにしたものです。オデッセイ コミュニケーションズは、さまざまな分野の専門家たちと協力して、時代が必要とする資格を、皆さんにご提供していきます。新しい資格を取得することで、新しいキャリアを、そして新しい日本を、切り開いていこうとする人たちを、オデッセイ コミュニケーションズは応援しています。
MOS
ビジネス価値を生み出す人材育成にMOSエキスパート(上級レベル)を活用
緻密な講座設計で、ほぼ100%の合格率を達成
立正精神(正しきを立て、人々の安穏と社会の恒久平和の実現のために尽くす)を建学の精神とする立正大学。同学の経営学部では、約20年前からMOSを授業に取り入れており、2021年度からMicrosoft 365をベースにしたMOSエキスパート(上級レベル)のオンデマンド型のオンライン授業を実施。ほぼ100%の高い合格率を有する授業内容とMOSの履修意義などをお聞きしました。
経営学部が授業としてMOSを取り入れたのは約20年前からです。毎年、「スキル開発演習5/6(MOS講座)」を夏休み期間に開催し、そのなかでWordとExcelのエキスパート(上級レベル)取得のための集中講座を各4日間実施していました。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で休講となり、2021年度からMicrosoft 365をベースにしたオンデマンド型のオンライン授業となっています。現在では、一定基準の課題提出を含めた講座完了者の合格率(※)は高く、ほぼ100%です。
1967年に開設した経営学部は「心豊かな産業人の育成」を教育理念とし、理論と実践のハイブリッドな授業を特徴としています。1989年から1人に1台のノートパソコンを配布し、約30年以上前からWord、Excel、PowerPointを取り入れた授業を行ってきました。
経営学部の学生にとって「情報」は当たり前のビジネススキルとして考えており、現在は「戦略経営」「マーケティング」「会計」「情報システム学」の4つの系統でカリキュラムを構成しています。WordとExcelの基本操作は1年生の必修科目「情報処理演習」で行い、進級に必要な科目として位置づけています。
2年生になると、必修科目「経営データ処理演習」でExcelの関数だけでなく、問題を分析・解決するためのデータ活用を学びます。より高度な内容を学びたい学生は、本学部の「スキル開発演習5/6(MOS講座)」を受講し、経営学部の単位としても認められるため、MOS(一般レベル)ではなく、WordやExcelなどの高度な操作が求められる難易度の高いMOSエキスパート(上級レベル)を採用しています。
※自己申請期日(試験日)までに、正答率80%以上の課題(全9回分)提出とMOS合格を完了した学生の合格率
講義として夏休みに行う集中講座のため追加費用はかからず、単位認定もあります。コロナ禍前は対面式でしたが、2021年度からオンライン講座とし、試験も全国の試験会場に各自申込んで受験するかたちに切り替えました。講座の告知は、履修登録を4月に行う必要があるため、3月のガイダンス時に受講について連絡しています。その後、受講人数が固まって講座準備が完了した7月に詳細な受験方法や受講方法を告知しています。
講座では、エキスパート(上級レベル)の機能や操作に関する動画学習と並行し、MOS対策教材の模擬試験プログラムに含まれる課題(全9回)の提出も課しています。提出条件は正答率80%以上とし、形式に沿っていないファイル名で提出した場合は不合格としており、単位は未認定となります。学生は模擬試験課題を80%以上クリアするまで何度でも取り組み続けることになり、結果、そのことが高い合格率につながっていると思います。もちろん、講座で視聴する動画にはわからない点を繰り返し見て理解を深められる工夫をし、フォローしています。
いまの学生は大変忙しく、平日の時間を有効活用したいという事情からか、夏期講座のニーズは高まっていると感じています。夏休みも平日に関わらず海外留学やアルバイト、インターンなどで忙しいため、時間を有効に使いたいという意識も高く、「短期集中型で単位がとれる」「オンラインで学べる」「自身の理解度に応じて必要なところだけ繰り返し学べる」「申請・実施・報告などの手続きのすべてをオンラインでできる」など、利便性の高さもあるでしょうか。仮に、夏休みに帰省していたとしてもオンラインであれば講座は通学時間ゼロで受講でき、MOSは全国にある地元の試験会場で受験できるのでその点も利点なのだと思います。
もちろん利便性以前に、パソコンスキルを習得しておくことは、就活をはじめ「ビジネスで必ず役立つ」ということは学生も理解しており、自身の将来のために取り組んでいると考えています。講座後にMOSを取得した学生に聞いてみたところ、「入学当時、パソコンは苦手でしたがMOS取得後は少し自信がつきました。使ってみるとすごくおもしろく、いろいろなことに使えるようになり、より自信がつきました」というコメントもありました。そもそもパソコンが苦手だった学生が、短期間でエキスパート(上級レベル)のMOSを高得点で取得できたという達成感はあるとは思います。昨年まで夏期講座は定員がありましたが、2025年度から定員枠を外したところ、学生には好評でWord 198名、Excel 187名の講座申込みが寄せられています(2025年4月末時点)。
昨今は高校生を中心に授業でパソコンやタブレットを使う機会が増え、デジタルデバイスはかなり身近な存在になっていますが、大学入学時のタイピングスキルは低いです。普段よく使うスマートフォンもキーボードではなくフリック入力中心です。利用用途に応じて使いやすい端末を使い分けるケースもありますが、ビジネスは基本的にパソコン利用が中心です。タブレットやスマートフォンは「消費の端末」としては使い勝手のいいツールですが、本当にクリエイティブなことをやるときや、データ分析をするといった価値を生み出すためのデバイスは、マシンパワーも含めパソコンでないと難しいことがあります。いくらビジネスシーンでAI活用が進んだとしても、ベースとなるデータの整理や分析のための事前処理にはExcelを使ってデータ活用の基本を理解しておくことが大切です。
立正大学経営学部の学生には、将来は消費するだけではなく、ビジネスで新しい価値を生み出す人材として活躍してほしいと考えています。ビジネス教育の一環としてパソコンを使ったMOSに取り組むことは有意義と考えます。いま、ビジネスでブームとなっているDX(デジタルトランスフォーメーション)は、従来の経営戦略、組織マネジメントなどをデータでつなげて再構成することが求められるため、本学の経営学部の学びと非常に相性がいいと思います。入学時に配布されたパソコンでWordやExcelなどの基本的な利用方法を身につけ、MOS講座をオンライン形式で学び、CBT形式のMOSを受験した経験は、実社会に出たときにきっと活きてくると思います。
※掲載内容は、2025年4月取材時のものです。
立正大学は、1580年(天正8年)設立された日蓮宗僧侶の教育機関「飯高檀林」を淵源とする長い伝統を誇る大学。校名の「立正」は、鎌倉時代に活躍した日蓮聖人が執筆した「立正安国論」に由来しており、立正精神(正しきを立て、人々の安穏と社会の恒久平和の実現のために尽くす)を建学の精神としている。現在では、9学部16学科7研究科を擁する総合大学へと発展し、企業や自治体などの学外との連携事業も取り入れながら、生涯にわたって成長していくための基礎力および、一人ひとりの学生が個性を磨き専門性を高めていくことができる幅広い教養教育と実学教育による人材育成を進めている。
[取材ご協力]
経営学部長 教授|松村 洋平さん、経営学部 准教授 博士(経営学)|金森 孝浩さん